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リレー小説
第8話
著者 : 秋桜日和 さん


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左肩の痛みも幾分治まっていた。が、いつ不意打ちを食らうともわからないのでヒーリングをかけておく。
シェゾは改めて小部屋を見渡した。最初ラグナスと出会い、天井につぶされ、そして運ばれた部屋と似ている。
息苦しささえ感じる小部屋の中、シェゾは思考を切り替えた。
 切り替えた先は、あの少年のこと。
気にかかるところがいくつかあったのだ。
 それが何だったか思いだそうとした、その瞬間。
ドアが開く音。
アルル達が帰ってきたのかとドアのある方向に目をやり、そして目をやったことをすぐさま後悔することとなる。
「オー!そこにいるのは変態魔導師ではありませんカ〜!」
何故って、そのドアをくぐってきたのが、例のミスマッチな物体だったからだ。
「だー!!俺は変態じゃねぇっ!」
関わりたくないのだが、悲しいかな、彼は反射的に言葉を返してしまう。
「つめたいですネー。それよりミーの体はどこにあるのですカー?」
「さあな。さっき何か調べるって出ていったぜ。」
できるだけ簡潔に答えると、シェゾはそっぽを向いた。
そして、またドアが開く音。
ミスマッチな物体が出ていったのかと思いきや、その考えは一秒と経たないうちに否定される。
というか、増えた。
この部屋にミスマッチな物体が増えたのだ。
「あ、オレの体・・・」
「OH〜!!ミーの体〜!!」
二人は、久々におのおのの本体と対面した。

「・・・というわけなんだ。」
人格クルクルクルックルで入れ替わったラグナスが、話をそう締めくくった。
ラグナスの話はこうだった。
この遺跡は、地下に埋まっている。実際彼らも少しずつ下に下ってきたのだ。
しかし下の階に一度でも足を踏み入れれば、何者かの力により上に戻ることはできなくなる。
地下に出口があるとは考えにくい。
遺跡はいくら戦闘を繰り返しても傷1つ付かない。壊せない。
つまり、閉じこめられているのだ。
そして一階ずつ、今皆が集まっているような小部屋『きゅーけー室★』(←部屋の外にこう書かれている)が
用意されていて、少なからず本が置いてある。
本にはこの遺跡にまつわることが幾つか書かれている。
「ほら。」
ラグナスが手に持っていた2冊の本のうち、一冊をシェゾに手渡す。


この遺跡を一人で歩み進む事は無理だと思う・・・ってか無理だよ〜ん。


書いてあったのはこれだけだった。
(なるほどな)
シェゾは一人で納得した。
 秘宝がなければ遺跡の脱出は不可能。秘宝を手に入れるには数人の力が必要。
秘宝を手に入れることができるのはただ一人。つまり・・・。
「ねぇラグナス。」
シェゾがその一文を読んでいる間に、アルルがラグナスに声をかける。
「せっかくインキュバスも来てくれたし、人格クルクルリンを解く方法ないのかな?」
罠の名称など、アルルにしてみればどーでもいいらしい。
「OHー、ミーもそれはしりません。」
「確かに戻ってもらわないと気持ち悪くてたまらないわ。」
「オレだって戻りたいさ。」
ラグナスは、もう一冊の本をシェゾの前につきだした。
「これはオレ達には解読不可能の文字で書かれている。」
お前から解読できるだろう、という期待のまなざしを向けられ、シェゾは本を開く。
「・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!」
「どうしたのシェゾ?」
それは古代文字で、シェゾにとっては平仮名を読むように簡単だったが・・・。
「人格クルクルクルックルの解き方らしい・・・」
「え?!」
数人の声が重なった。
それはシェゾにとって一番忌々しい方法だった。

続く




あと(の、わるあ)がき

リレー小説初体験です。どーゆー話にしようか考えないうちに名乗りを上げてしまい、後悔。
でもすごく楽しませてもらいました。へたっぴになっちゃいましたけど。
インキュバスの口調いまいちわからないし、『謎の男』のキャラがつかめてないし、
変なところで終わりにしてしまいましたし。次の走者さん、頑張ってください・・・。

P.N 秋桜日和 さん
インキュも謎の人もちゃんとキャラ、つかめてると思いますよ。
相変わらずこう何というか…謎の人、いい味出しています。
もっともこのワナ(?)にはまってるシェゾ達にすれば、神経逆なでしているんでしょうが。
それにしてもシェゾにとっての「忌々しい方法」って一体何なんでしょう…気になる〜!!
あんなこと?こんなこと?想像がどんどん膨らんじゃって…。

さて、次回の走者は…現在のところ未定です。どなたか執筆していただけませんでしょうか?
もしよろしければ、メールか掲示板へ書き込んでいただければと思います。
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