ムービー価格の構成要件


のっけからぶっちゃけると、ムービー価格を知ることは儲かる仕事なのかどうかを考えることと言える。この業界、外注である限り、どんな職種でも量産しないと儲からない。私の知人も良く、高いのか安いのかで揉めている。

まずはムービーの価格は何で決まるかを考えてみよう。
一つには必要経費、もう一つは人件費、そして利益。この合計値がムービーの単価である。
必要経費には、機材保守費、ソフトウェア保守費、減価償却費、損料などが含まれる。ムービーの場合、仕事で使うのなら信用度の高いマシンが要求されるので、CGレベルのマシンとは桁が変わる。また、使用するソフトウェアも3Dなど使うのであれば、かなりの高額商品ばかりである。商用利用や無制限の出力などを考えると、ソフトウェアがプロ版ライセンスばかりになってしまうのも困りものだ。拘らない人はあまり拘らないが、途中でデータが飛んで泣くのは自分なので、結局100万単位の投資額になるのが普通だ。基本的には、年間作る本数割りになるので、同じ作者であるならば大きく変動する部分ではない。

利益とは、文字通り全体の工賃合計に一定割合を乗じて得られる金額で、この部分があまり大きすぎると暴利となって、敬遠される。一般には5〜10%と言われる。別名、端数調整費(笑

さて人件費、この部分が作者のレベルによって大きく変動する部分と言えるだろう。人件費とは、勘違いする人も多いのだが、儲けとなる部分ではない。ただ、会社で言う給料であるから個人事業主の場合、儲けと大して意味が変わらない様に見えるけれども、本来は切り分けて考える要件である。何故なら、会社の給料も基本的には必要経費として給料を支給しているからだ。生活費を切り詰めて純益に上乗せする行為は、見積額本来の中で行われることではない。

ちょっと余談。
人件費なるものだが、時給800円、年間2000時間労働として考えると年収が160万である。まぁ世の中のサラリーマン最低賃金なぞこんなものだ。また、配偶者などによる扶養控除の限度額や生活保護費の限度額を考えると、最低限度の生活を営むことが出来る金額とは120万前後と考えられていると言うことなのだろう。

話を本筋に戻して、ではムービー作家の人件費を構成する要件とはなんだろうか。
大雑把に考えて、実力(技術含む)・ユーザー人気(知名度含む)・クライアントの評判(実績含む)、そして作業期間(特急仕上げ含む)と言ったところだろう。これらの要件は、クライアント側の判断と作家側の判断とが微妙に交錯するので、どれくらいの金額がその作者に対して適正なのか、断ずることは難しい。

ただ、一つだけ言えるのは、同じ作者であれば作業期間が同じである限り金額は大きく変動しないし、金額の変動は作業期間以外の理由で変動させてはおかしいとも言える。働いた時間だけ給料が出るのと同じ理屈だし実績や知名度による価格変動が経験する度に上がっていくのも給料と基本的に同じだ。そして爆発的に認められてしまえば、抜擢採用と同じでいきなり金額が上昇してもおかしくはない。一応は、世間の給料体系とあまり変わるところはない。

詰まるところ、金額を決めるのはクライアントの評価と作者の良心であろう。どちらも数字で示せるものではないが、しっかりと金額を決める足場を持っているならば、提示する(あるいはされる)金額に齟齬があっても調整が利く範囲であるならば、それは適正な価格と言ってもよいのではないだろうか。

もっとも、折り合わないからといって、不適切な金額とも言えないところが難しいのだが、それはむしろ予算面に寄るところが大きいのではないかと思われる。


2006/12/09 霧島緑



この文章は2007/8/10付のコラムと対比させて読む事をおすすめします。


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