「絵とは、物体を連想させる一種の記号である」(某エロ漫画家さんの言葉)
萌え絵によるキャラクターを含むメディアは、すべからく現実の彼女の代替物と言える。代替物である以上、根底には必ず「性的対象」と言う意味がある。フロイトの例を持ち出すまでもなく、性的欲求は人間本来の欲求であるため、猥褻な絵でなくとも異性の美的絵には「性的対象」の意味合いが常に存在する。(特殊な性愛を除く)
前述の記事から得られたキーワードは「キャラの記号化」と「萌え絵の原点」。この2点について、考察してみる。
予めお断りしておくが、ここに記す事柄の多くは、私と同世代を生きたヲタたちにとって常識的な事柄である。むしろ、当時を知らない世代にその歴史を解りやすい形で知らせようとすることが狙いである。裏付けは、ネット上のサイトで多くを得ることが出来るだろう。
さて、今回の記事で高野氏は「特殊なキャラはいずれ、マニアにしか意味が分からない「記号」になってしまうだろうという。」と述べている。だがしかし、もともと萌えキャラと言うのは記号の集合体である。端的に抜き出せば「ぱっちりした大きな目」「綺麗な髪」「おちょぼ口」「細い手足」「胸の大小」「くびれた腰」等と言った「記号」に還元される。
故に高野氏の述べる「記号」とは、これらの記号がより偏在化した記号になることを危惧していると理解すべきである。
先ほど述べたように、すべからく萌えキャラとは「性的対象」である。もう少しソフトに言うならば「好意を抱く対象」と言う。より偏在化した記号とは、「何故、おまいらはこんな絵で性的に興奮するんだ?」と言う事になる。(もっとも、既に一般人からヲタはそのように見られているのであるが。)
では、次に「萌え絵の原点」を見ていこう。
「高野氏は、同種のゲームの萌芽期が、1987年頃にまでさかのぼると話す。」
萌え絵の基準は時代と共に変化する。つまり、昔は「今から見るとどうしようもない絵でも売れた」のである。ここで「性的対象」と言う言葉が意味を持ってくる。
もともと「性的対象」としてコミックとしての「性行為」を描くのは「劇画」の特権だった。つのだじろうは漫画家を目指す少年を描いた漫画「その他くん」の中で、こうした漫画を「商売人の漫画」と皮肉っている。しかし、同人誌の世界からその観念はあっさり破られる。1979年のことである。
萌え絵の原点とは何か。それは現代まで続くコミックタッチによる「性行為」の描写にある。その後、コミックマーケットのジャンル分けに「美少女系」が追加される。所謂「萌え系」の走りである。そこには特に「性行為」を描かなくても「可愛い女の子」を描くジャンルとして多くのサークルが派生している。1979頃を境にして、急激にその種のサークルが増え始めた。
ゲームとしては、その延長上に生まれた初のゲームが「ロリータシンドローム」(エニックス 原画:望月かつみ 1983発売)である。それまで「ナイトライフ」などの劇画の延長上にあったアダルトゲームも存在したが、その絵柄を比べればターゲットの違いは一目瞭然であろう。
その後PSKのゲームや、覚えている人もそろそろ少なくなってきた「天使たちの午後」といったゲームが流行し、今のエロゲの基礎を作った。
ここでちょっと脱線するが、1983年前後だと思うがアーケードゲームに「スーパーリアル麻雀PU」〜ロンよりショウ子を見せたげる♪〜(seta)が登場。青春りっしんべんの青少年のサイフをさんざん軽くしてくれたゲームが登場した。今思い出すと、アニメキャラ風脱衣麻雀の先駆けであった本ゲームが「天使たちの午後」からその後のパソコン全盛期の間の空白期間を繋ぐミッシングリングなのでは、とか思ったりする。
では、纏めに入ろうと思う。
・これからの萌えキャラに危惧されることは「先鋭化」と言うよりも「特殊記号化」とした方が理解しやすいのではないか。
・「萌え絵」の原点は、1979年にコミケットで起こった大ブームにまで遡る。
高野氏の論旨は否定しないが、既に表では活動しなくなった、あるいは引退した人にしか知らない歴史があり、その部分の再考を促したいとは思う。
だが、今回の講演にはその必要もないだろう。何故なら、それは多くのギャルゲ、エロゲソフトハウスが今現在抱えている問題。
「この寒い状況下で、いかに売れるゲームを作るか」にあるようなのだから。
いちユーザーとして、どうすれば面白いゲームを作れるのか、その模索は常に期待したいものであるから。その為に古い歴史を知ることは、全くの無駄でもあるまい。
23:28 2004/09/09 霧島緑
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